この夏、深く関わらせて頂いた日本舞踊協会第4回新作公演「走れメロス」。
もう随分前の事のようです。

さてお知らせです。
NHKさんで放映が決まりました。

「芸能百花繚乱」9/28(金)22:00〜22:58
http://www.nhk.or.jp/koten/japanese_art/02/

全編ではなくダイジェストで紹介されます。
アレとアレは是非そのまま放送してほしいな〜。
皆様是非ご覧下さいね。


今回は内容について振り返ってみたいと思います。



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第一幕

一場 序章「破壊」

物語のプロローグ。
主人公メロス、その友セリヌンティウス、暴虐の王ディオニスなど、
主要キャストが登場。

このシーンでの主な楽曲は
「花売りの少女」
「ディオニスのテーマ」
「メロスのテーマ」
の3曲。

「花売りの少女」
儚さ、優しさ、静かな美を表した情緒的なメロディの曲です。
少女が登場する前は混沌とした不協和音が流れ民衆の不安や混乱を表しており、
その中から美しい少女がフッと現れてこの曲が流れ、
悪政に苦しむ民衆に束の間の癒しを与えます。

動的な表現の多い今作の中で、
作品のテーマを表すシンボルとして、
この曲のメロディは随所に使用されました。

「ディオニスのテーマ」
暴虐の王!女帝!カッコいいぞ!
恐怖と暴力と威圧で民衆を統治するディオニス。
トランス調のリズムとクラシカルなシンフォニーで、
荘厳さと重厚さを表してみました。

「メロスのテーマ」
主人公メロスは僕のイメージでは

・単純
・情熱家
・短気
・愚直
・ド真面目

な感じでした。
そんなヤツがひたすら突っ走るわけです。
そりゃもうジャカジャカとギターのストロークです。

全体的に言える事ですが、
時代背景や場面設定を考慮して無国籍な感じの曲が多いです。
フラメンコっぽくもありフォルクローレぽくもあり。
大体想像して頂けるでしょうか、そんな曲です。

二場 村 「宴」

メロスの妹の結婚式の舞曲です。
ちょっとコミカルな感じ。
祝宴ですから。
メロスもちゃんと飲まされてました。

三場 道 「山賊」

ディオニスが裏で手を回した山賊がメロスの旅路を邪魔しにかかります。
歪んだギターと複雑なパーカッションで、
そんな荒くれ者達との大立ち回りを表しています。

四場 道 「龍神」

メロスは龍神の住む洞窟に落ち、
激しい濁流に飲まれてしまいます。
自然の猛威にもてあそばれ、
さすがのメロスも諦めかけてしまうシーン。
高速3拍子でバロック調にアレンジしてみました。

この曲は多数のご好評の声を頂きました。
御稽古の時から演者さん達が感極まって涙ぐまれていたというエピソードも聞きました。
ていうかそう聞いて僕も泣きそうに(涙。

日本舞踊協会の女性陣達の踊り自体がも〜、
本当に素晴らしかったです。
達真さんの振付けも衣装の豪華さも相まって、
人間が自然の力に屈する様を見事な群舞で表現されてました。
初めて見た時は僕も息を飲みました。

五場 道 「夢朽ち果てて」

「メロスのテーマ」
「セリヌンティウス」
「花売りの少女」

3曲のピアノメドレー。
回想シーン的な扱いです。
疲れ果てたメロスが約束のために再び力を得て立ち上がり、
物語はここで一区切り。
第一幕おしまいです。


第二幕

一場 道 「挑戦」

主人公メロスが旅の目的を自問自答しながら再認識するシーンです。
チェロのフリー演奏は古後くん
ナレーションは坂東三津五郎さん
演出の東さんの書いた原稿は原作とほぼ同じトーンで、
太宰文学の世界に違和感なく引き込まれていきました。

二場 道 「葛藤」

さあ来ました、
本作の山場の一つ、メロス組曲のシーンです。
ステージ上はメロスの分身が力強く跳ね回ります。
日舞の男踊りの魅力そのもので圧巻でした。

音楽的には「起承転結」の4部構成で組曲の体になっています。
僕は組曲は初めてでした。
しかもトータルで約13分!長い!

そういえば、
「起」の部分の旋律をデモの段階で東監督がとても気に入って下さって、
そのままメロスのテーマとしてもリアレンジして採用されました。
作品を通じて一番盛り上がる所だと思ってメインテーマのつもりで作曲したので、
「このメロディは是非前半にも使わせて」
っていうお申し出を頂けた時はとても嬉しかったです。

三場 終章 「未来への道」

長いメロスの旅も終わりに近づき、
畳み掛けるように物語のフィナーレへと進行します。
このシーンは舞台演出が本当に素晴らしかったです。
メロスが再登場するシーンや、
フィナーレの大団円などは、
何回見ても鳥肌が立ちました。


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28日は東監督や振付けの先生方も出演されるのかな?
どんな風に紹介されるか楽しみです。
このブログを参照されながらご覧下さいませ〜。