関西ではこのCMでお馴染み、
551の蓬莱
主要な駅にはかならずあって、
ついつい餃子だとか肉まんだとか買ってしまいます。
僕もついつい・・・買ってしまうんですが、
そう、いつも彼の事を思い出します。
イナバヤシくんの事を。

出会いは僕が学生の頃、
運転免許の合宿で同室になったのが縁でした。

ヒョロヒョロでパンチパーマ、
偽レイバンのグラサンをかけた彼は高い声で

「イナバヤシです・・・ヨロシクお願いします・・・」

と伏し目がちに挨拶してきました。
僕達よりちょっと年上のイナバヤシくん、
家計を支えるために若くしてレストランの蓬莱に勤めていたのです。

性格は控えめ(でもパンチパーマ)で、
いつも伏し目がち。
多分職場でも怒鳴られまくってるんやろなーというオーラを出しまくる彼。
教習もかなり時間をかけておられました。

一緒に合宿に行った友人のS元くんと、

「あっ!いなばっちまたコース外れた!」
「今日ギアチェンジの練習、ベンチに座ってシャドーやっとったで!」

とよく騒いだもんです。

そんな彼ですが、
合宿所の食堂で炊事係のおばちゃんの手伝いをするようになり、
おばちゃんのすすめもあり食事を作ってくれるようになりました。

「このチンゲンサイまだ若いなぁ〜」

とつぶやいてた姿、思い出して目に浮かびます。

そしてオイシィ〜天津飯を手際よく作ってくれました。
さすがプロ、僕もS元くんもあまりの美味しさに大喜びでした。

それからというもの、
親しくなった僕達は休日一緒に出かけたり、
夜の休憩時間に缶ビールを一緒に飲んだりして親交を深めていきました。

しかし合宿生活も半ばを迎え、
実は僕もS元くんもある違和感を感じてきました。
そしてどちらともなく僕達はイナバヤシくんにこう言いました。

「なぁ、いなばっち。もう中華ばっかり飽きたわぁ。明日ハンバーグとか作ってくれや」
「うん・・・わかった・・・、作ってみる・・・。」

そうして無理矢理出来たハンバーグはイマイチでした。
そして翌日から彼は作らなくなりました。

そんなイナバヤシくんともお別れの時が来ました。
僕もS元くんも予定通り日程を終え、
合宿所を離れる事になりました。
ハッキリ言ってちょっとドン臭かったイナバヤシくんは、
路上に出るまで教習が大分残ってました。

送迎の車に乗り込む時、
「楽しかった・・・ありがとう・・・」
と言ってドアを閉めてくれたイナバヤシくん、
最後まで伏し目がちでした。
(でもパンチパーマ)

多分千円かそこら(もっとか?)、
貸しっぱなしだったのを言い出せなかったのでしょう。
そんな弱気なパンチパーマのイナバヤシくん。
どなたか見かけたら連絡下さい。

・・・ってなんでオレこんな事書いてるんやろ(笑。